目で読むSDGs図鑑④ 世界の森林を守るために、私わたしたちに何ができる?

監かん修しゅう:吉よし田だ綾あや

現げん在ざい、世界の森林面積が年間約470万ヘクタール、減げん少しょうしています(注1)。アフリカや南米、東南アジアなどにある開発途と上じょう国を中心に起こっている問題ですが、私たちの生活とも無む縁えんではありません。私たちの生活と森林破は壊かいはどのように関わっているのでしょうか。

*注1:FAO(2020)Global Forest Resource Assessment 2020.(国連食しょく糧りょう農業機関「世界森林資し源げん評ひょう価か2020」)より
SDGS04_main.jpg世界では、年間約470万ヘクタールの森林が失われています。
この広さは、九州の面積の約1.3倍。これをまた元の状じょう態たいに戻もどそうと思っても、数十年かかってしまいます。

 年間約470万ヘクタールの森林が失われている

 みなさんは、世界の森林面積が陸地全体の何割わりを占しめているか知っていますか?  全体の半分程てい度ど? それとも、陸地をほとんどおおいつくすほど?
 正せい解かいは、陸地全体の3割くらい。約40億ヘクタールです。しかし、森林は日々減少し続けています。2010年から2020年にかけては、毎年約470万ヘクタールの森林が失われました。これは、九州の面積、3万6千780平方キロメートルの約1.3倍にあたります。
 樹じゅ木もくの成長を上回るスピードで、森林が減少する状態を「森林破壊」といいます。深しん刻こく化かしているのは、アフリカや南米などの森林。現地の森林保ほ護ごのための法ほう律りつを守らずに木材や燃ねん料りょう用に木が無む秩ちつ序じょに伐ばっ採さいされていることも一いち因いんですが「農業活動が原因の大部分を占めている。」と、吉田先生は話します。
「世界人口はどんどん増ふえ続けています。増えた分だけ食料を供きょう給きゅうしなくてはなりませんが、農地や放牧地は不足しています。そうなると、森林を切り拓ひらくしかないわけです。」
 新たに農地を拡かく大だいするのは、輸ゆ出しゅつ用の作物を栽さい培ばいするためでもあります。コーヒー豆やカカオ豆などが代表例ですが、2000年代以い降こうは、アブラヤシからとれるパーム油の需じゅ要ようが世界的に拡大。これらを輸入に頼たよっている国の中には、食料自じ給きゅう率りつの低い日本も含ふくまれています。
 インドネシアやマレーシアなどの東南アジアの熱帯林がアブラヤシの農園に転てん換かんされることによって森林が大きく減少しています。パッケージの成分表には「植物油ゆ脂し」と表記されることが多いため見落としがちですが、パーム油はあらゆる食品に含まれています。チョコレート、スナック菓が子し、インスタント麺めん......と、スーパーマーケットに並ならんでいる食品は、パーム油を使ったものばかり! 私たちが豊ゆたかで便利な食生活を求めるほどに、森林破壊が助長されているともいえます。
「森林の減少スピードは1990年代と比くらべて、ゆるやかになっています。しかし、今後も世界の人口は増え続けるので楽らっ観かん視しはできません。」 
 森林破壊は、緑が失われるだけではありません。樹木の幹みきや根が燃もやされたり、分解されたりすることにより、二に酸さん化か炭たん素そが空気中に放出されます。すると、地球温おん暖だん化かが加速して、異い常じょう気き象しょうを招まねくことになります。また、森林が減へって、風で土が飛ばされたり、雨で土が流されたりするなどして、砂さ漠ばく化かにつながることもあります。さらに、森林破壊は、野生生物に悪影えい響きょうを及およぼすことも......。

「インドネシアのスマトラ島では、オランウータンやゾウがすみかを追われています。さらに、ゾウが食料を求めて農園に踏ふみ入いって、農地や家屋を破壊するケースも少なくありません。」

森林と共きょう存ぞんするために今日からできること

 今後、森林とどのように共存していくのか。これは、開発途上国だけの問題ではありません。私たちを含めた、世界中の人たちが向き合わなければならないのです。
「森林を優ゆう先せんするか、人々の生活を優先するか。これはとても難むずかしい問題です。だからこそSDGsの目標に『陸の豊かさも守ろう』が取り上げられているわけです。」
 まずは、森林破壊について自分なりに考えてみることが大切。本やインターネットの記事などで、森林破壊を取り巻まいている現状を調べたり、森林保全に配はい慮りょした商品を積極的に買ったりすることも一つの向き合い方です。
 「自然に親しむと、森林破壊と保全への理解も深まります。」と、吉田先生。例えば、自然観察会に参加したり、ハイキングに出かけたり――。スマートフォンのアプリで、樹木の名前を調べてみるのもおすすめ。「ケヤキ」や「マツ」「スギ」など、名前を知るだけでも自然がぐっと身近になり、問題意い識しきがより高まるはずです。

今日から私たちにできること

1自然に親しむ

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自然観察会や生き物調ちょう査さなどに参加すると、テレビやインターネットでは分からない発見や学びがあります。 生き物図鑑やスマートフォンのアプリなどを活用し、名前を調べてみましょう。名前を知っているだけで、それらが今までよりもっと身近に、大切に感じられるようになるでしょう。

2 森林保全に配慮した商品を選ぶ

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森林保全に配慮した商品を選ぶことも対たい策さくの1つです。最近では、「FSC®」や「PEFC」などの認にん証しょうマークが付けられた商品を扱あつかう企き業ぎょうも増えてきました。このマークは、適てき切せつに管理された森林から生産され、適切に流通・加工されていることの証あかし。まずは身の回りにあるパッケージなどのマークをチェックしてみましょう。

3 森林破壊と保全について学ぶ

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森林破壊の問題は、とても複ふく雑ざつ。 家の人や学校の先生でも納なっ得とくのいく答えを出せないかもしれません。だからこそ、世界中の人たちで考えなければならないわけです。森林破壊を取り扱っている書しょ籍せきやインターネットの資し料りょうなどを読んで、森林を守るヒントを探さがしてみましょう。

SDGs_banner.png 現在、森林破壊を食い止めるために、さまざまな調ちょう査さや研究が進められています。一部の成果は書籍にまとめられており、なかには小学校低学年からでも読める児童書もあります。吉田先生のおすすめは「ゾウの森とポテトチップス」(そうえん社)。読んだら、親しい人にすすめてみてください。

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「ゾウの森とポテトチップス」 (そうえん社)
写真・文:横よこ塚つか眞ま己こ人と 1,430円(税込)
マレー諸しょ島とうに位置するボルネオ島は、熱帯雨林におおわれた大自然の宝ほう庫こ。しかし、森林破壊によって、島で暮くらすゾウの命がおびやかされることに......。

取材、文・名嘉山直哉 イラスト・磯田裕子

監かん修しゅう:吉よし田だ綾あや

国立研究開発法人 国立環境研究所 資し源げん循じゅん環かん領りょう域いき主しゅ任にん研究員

ごみ問題やリサイクルの現げん状じょうを通じて、持続可か能のうなライフスタイルを研究している。書しょ籍せき「これってホントにエコなの?」(東京書籍)の監かん訳やくも担当。

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