インタビュー
我楽太さん(第4回「青いスピン」作品募集・入選)
「いちばんの趣味は読書」
「読む」を深めるために「書く」
──入選作の「夕暮れのベンチで」は、選評で「不思議な二人芝居を見ているよう」「友情になる手前の空気感がおもしろい」「本当に何気ないやりとりだが、きっとこういう時間を大人になって思い出す」などと言及されました。
募集内容の「小学校高学年から中学生を読者対象」というのを見て、「人と人との距離感」というのが思いうかびました。最近はSNSなどもあって人との距離感が近すぎる感じがしたので、逆に遠くしてみたらどうかなと思ったんです。読者対象に変に寄せていくのではなく、自分が小中学生に読んでもらいたいものを書きました。やっぱり自分を信じて自分の色を出したほうがいいかなと思いました。
自分自身、「何でも知ってる」みたいな、距離が近すぎるのがあまり得意ではないんです。知ってるようでいて全然知らないことも多いですから。転校の多い子ども時代だったんですが、人と別れて、でもまた出会って、という経験をたくさんしていたので、そこは応募作とも関係しているかもしれません。
──執筆にはどれくらいの時間がかかったのでしょうか。
二、三時間でしょうか。書きあがった後に一回見直して細かいところは修正しましたが、直感で、連想、連想、連想で、ばっと書きました。そういうのはうまくいかないことが多いと思うのですが、今回は運良くまとまりました。
フィクションを書き始めたのは五年くらい前からです。書き方は独学です。技術書みたいなものにも目は通したんですが、結局物語や小説は自分で書くしかありません。書いて、書いて、考えて、書き直してまた書いて、っていう感じです。とにかく書き続けるしかない。
──書き始めてから、何か変化は感じますか。
最初のころよりは文章はましになったとは思います。助詞をまちがえなくなったりとか(笑)。それと、人の文章をよりていねいに読むようになりました。読むだけだと見えないものもある。書くことは、読むことを深めるために必要なのかもしれないとは感じました。
書くときは、リズムは意識します。口に出してみて何か変な感じがしないかとかは気にします。改行とか、読点の位置も、意識したいなというのはあります。
くり返し読んだ本
──これまで、どういう本を読んできたのでしょうか。
小学生時代は家の都合で飛行機に乗る機会がけっこうあったんですが、そこでよく本を読んでました。講談社の青い鳥文庫の「十五少年漂流記」は十回以上は読んだと思います。同じ青い鳥文庫で「巌窟王」や「ああ無情」、「海底2万マイル」なんかも読んでました。ちなみに「十五少年漂流記」は人と人との付き合いみたいなのもだいじな要素なので、その点では「青いスピン」への応募作にもつながるところがあります。
中学生のときはそれほど本は読んでないんですが、「ハリー・ポッター」や「指輪物語」、「ゲド戦記」あたりはくり返し読みました。
大学生のころからは量を読むようになりました。一年で三、四百冊は読んでたと思います。読んでない本が多いなと思ったのがきっかけで、かたっぱしから手に取りました。本に関しては食わずぎらいしないタイプで、ミステリーやSFもたくさん読みました。
作品としては中島敦の「山月記」や、古典だと「方丈記」あたりが好みです。夏目漱石も好きです。
本を読んでいると、ああ、そういうふうに書けるんだ、とか自分とはちがう視点に気づきます。ちょっとした言葉づかいでも、自分だったらどうするかなとか考えるようになりました。ゲームをしたり映画を見たりもしますが、やっぱり自分にとっていちばんの趣味は読書です。


